研究課題
研究活動スタート支援
VCM関連腎障害の発生機序に立脚した予防薬開発を行うため、データベース解析により得られた候補薬をモデル動物と培養細胞を用いて検討を行った。初めに米国食品医薬品局 に集積された約800 万例の薬剤副作用報告の大規模データベース(FDA Adverse Event Reporting System: FAERS)の解析により、VCM関連腎障害発症率を低下させる可能性のある薬剤を抽出した結果、約70種類の既存承認薬が得られた。次に、遺伝子発現データベース(Gene Expression Omnibus: GEO)を用いてVCM関連腎障害により変動する遺伝子発現変化を解析し、逆の変化を示す薬剤を候補薬として抽出した。2つのデータベースを使用した解析において、いずれも候補薬として挙がったのは数種類であったため、これらの数種類の候補薬をバンコマイシン関連腎障害モデルマウスに投与した。そのうちの2種類の候補薬は、モデルマウスにおいて生じた腎重量の増加、尿細管障害を抑制した。また、腎機能の指標である血清クレアチニンおよび血中尿素窒素(BUN)の上昇も抑制した。これらの2種類の候補薬は、培養尿細管細胞を用いた検討においても、VCMによる尿細管細胞死を抑制することが確認できた。以上、データベース解析により得られた候補薬をモデル動物や培養細胞を用いて検証した結果、有用な結果を得た。今後は、モデルマウスを用いて発症機序に関連する他の分子についても検討し、より詳細な解析を進めていく必要がある。また、臨床研究によって候補薬を併用した場合の薬物動態に対する影響や血中濃度の層別解析についても検証していく必要がある。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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日本病院薬剤師会雑誌
巻: 55 ページ: 163-166