研究課題
研究活動スタート支援
我々は関節リウマチ(RA)膝および変形性関節症(OA)膝の滑膜由来間葉系幹細胞(滑膜幹細胞)の平均収量および軟骨分化能は同等だが、RA滑膜幹細胞は収量のばらつきが大きいことを報告した。RA滑膜幹細胞による軟骨・半月板再生医療を行う際に、あらかじめ収量を予測できれば、培養期間の調整が可能になる。本研究の目的はRA関節液中の間葉系幹細胞を解析し、滑膜幹細胞の収量との関係性を明らかにすることである。本研究で個々の症例における関節液中の間葉系幹細胞の性状と滑膜幹細胞収量との関係性や寄与する因子を明らかにすることは、RA滑膜幹細胞収量のばらつきの原因を同定し、収量の安定化につながるため、極めて創造性が高くかつ臨床上重要な研究である。研究実施計画どおりの方法で、人工膝関節置換術中に得られるRA関節液および滑膜を使用した(n=10)。これまでの知見に基づき、関節液は1.5mlを4倍希釈して1.0mlずつ60cm2 dish-6枚に播種、滑膜は酵素処理後の有核細胞を104個ずつ60cm2 dish-6枚に播種した。それぞれ14日間培養し、3枚をcrystal violet染色でコロニー形成を確認し、残りの3枚の細胞数を評価した後、継代して多分化能と表面抗原を解析した。結果、関節液および滑膜有核細胞を14日間培養し、得られた回収細胞の表面抗原および多分化能を解析すると、両群とも間葉系幹細胞の特徴を有していた。滑膜幹細胞の収量は関節液中のコロニー形成細胞数と相関した(R2=0.64)一方で、関節液量とは相関しなかった。RA膝も滑膜幹細胞による軟骨・半月板再生医療の適応になりうるが、収量のばらつきが問題であった。本研究で、関節液中のコロニー形成細胞数が、滑膜幹細胞収量の指標になると考えられた。培養期間や継代数を事前に調整することにより、RA滑膜から十分な細胞数の確保が可能になる。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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