配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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研究実績の概要 |
近年の探査により小天体の表層の画像の取得され, 特徴的なクレーターが数多く見つかってきている.このような特徴的なクレーターが形成される要因の一つとして小天体の空隙率が高いことが考えられる.これまでクレーターサイズを考える上では, 無次元数を用いたπスケーリング則がしばしば適用され, 整理されてきた.しかしこのスケーリング則は点源近似を仮定しており, 弾丸の潜り込む影響が考えられる空隙率の高い天体にそのまま応用してよいかどうかは定かではない.そのため本研究では, 高空隙標的でのクレーター生成の素過程を理解することを目的とした. 令和元年度までに, 衝突により高空隙標的内の衝撃圧がどのように伝播するのかを調べるため, 空隙率94%、バルク密度0.15g/cm^3を持つ標的を作成し, これに対して高速衝突実験を行った. 標的内部にトレーサー粒子として鉄球を配置し, 衝突直後に広がる衝撃波に伴う粒子の移動速度を計測した. しかし, 衝突前後でトレーサー粒子に目立った移動を確認することはできなかった. そのため令和2年度からは, 密度の異なる弾丸, 衝突速度を変化させ, 弾丸が貫入中のクレーター(キャビティ)成長過程に関するにデータ取得を行ない, その成長プロファイルの取得に成功した.弾丸が大きく破砕・変形されるほど太短いキャビティが形成される一方, その程度が小さい場合は細長いキャビティが形成され, これまでの研究と調和的な結果を得た. 研究期間は終了しているが,今後は実験と同条件で数値シミュレーションを実行し, 実験のキャビティ形状を再現するインプットパラメータを精査する.これにより実験による妥当性が検証されたシミュレーションコードを使って, 衝撃圧の減衰過程を定量的に評価し, 物理的考察を取り入れた高空隙天体上に形成されるクレーター形成過程について議論する予定である.
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