研究課題
特別研究員奨励費
本研究はD14L/KAI2経路ではたらきAM菌共生を制御する新規植物ホルモン(KAI2 ligand; KL)・AM菌由来シグナル分子(Myc-factor for KAI2 pathway; Myc-K)の単離を目標としている。①シグナル分子単離のためのアッセイ系の確立と精製、②D14l2a, D14l2bの機能解析に加えて、①が困難だった場合のバックアッププランとして③ D14L/KAI2経路ではたらく転写因子のスクリーニングを計画していた。③の実験は初年度で完了し、①が順調なため③の実験は行わなかった。そのため、本年度は①の実験のみ行った。昨年度までにKLによって発現誘導されるミヤコグサDLK2の発現をqPCRで定量することによってKL活性を検出するアッセイ系を確立した。また、イネの種子に高いKL活性があることを発見し、イネ種子抽出物の精製を進めていた。本年度は、このアッセイ系に直接逆転写法という技術を導入することに成功した。直接逆転写法は龍谷大学の永野准教授らが開発した手法で、精製したRNAではなく植物破砕液を直接cDNA合成に用いることができる。これにより、アッセイの効率が大幅に改善された。また、イネ種子抽出物の順相・逆相のオープンカラム、HPLCによる精製条件を最適化し、高い活性を保ったまま抽出物を精製できる条件を見出した。化合物の単離には至らなかったものの、精製条件検討の過程で、抽出物だけでなく滲出物にもKLが含まれること、KLは単一の化合物ではなく複数の化合物がKL活性をもつこと、それらの化合物の中には中性物質と酸性物質が少なくとも1つずつ含まれることなど、これまで明らかになっていなかったKLの化合物としての性質を明らかにした。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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