研究課題
特別研究員奨励費
本年度は上半期に東日本産海産魚類に寄生するハダムシ属単生虫類相の調査、および東南アジアとオセアニア地域での分布・博物館調査を予定していた。しかし、新型コロナウイルス対策として、上半期の調査はすべて中止とし、これまでに採集していたハダムシ類の同定・分類、および遺伝子解析を中心に進めた。2018年4月から寄生虫検査を行った野生海産魚類は121科343種約1200個体に及ぶ。そのうち、56種26科の魚類から57種のハダムシ類が採集された。この中には少なくとも3未記載属、17未記載種が含まれ、日本に分布するハダムシ類は約70~100種と予想された。また、琉球列島と本州間のハダムシ相は大きく異なることが判明し、この地域間での活魚輸送は、新規寄生虫病発生の原因となる可能性が示唆された。さらに、養殖場で魚病の原因となるハダムシ種は、野生魚からは非常に低頻度でしか採集されなかった。この結果から、養殖場において発生するハダムシ類は、養殖中に野外から侵入するのではなく、種苗とともに侵入するごく少数のハダムシに由来すると予想された。ハダムシ類のDNAバーコーディングシステムの構築に向けた遺伝子解析を進め、ハダムシ類に対しユニバーサルプライマーが安定して利用できる、28S rDNAおよびCO1領域が特に有用であると判断した。並行して行った分子系統解析結果から、日本において魚病被害の原因となるハダムシ類(特にBenedenia属)は複数の種群に分かれることが明らかとなり、また形態的にも共有派生形質の存在が確認された。現在その分類学的な問題解決に向けた論文を投稿中である。本年度はハダムシ分類に関する論文1報を公刊し、2報が投稿中である。ほか、調査時に採集された単生虫類を含む魚類寄生虫に関する3報の研究論文を公刊した。また、3年間のハダムシ類調査の総括として、本研究で明らかとなった成果を学会発表した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 2件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (9件)
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