研究課題
特別研究員奨励費
近年、量子物性系における散逸の効果をハミルトニアンの非エルミート性として取り入れる非エルミート量子力学が盛んに研究されている。非エルミートハミルトニアンの著しい性質の一つに、ハミルトニアンの固有エネルギーが境界条件に強く依存する、非エルミート表皮効果が上げられる。我々は、数学分野における作用素のスペクトル理論、特に指数定理及び相似変換を援用する事で、非エルミート系における表皮効果のトポロジカルな起源を明らかにした。具体的には、非エルミートハミルトニアンをエルミート系のトポロジカル絶縁体のゼロモードの関係に着目して証明を行った。この考えを発展し、既に知られているトポロジカル絶縁体のヴァリエーションに対応し、対称性に保護された表皮効果や高次元の表皮効果を提唱した。本研究は対称性とトポロジーという研究計画書の主要概念に着目し、一見無関係に思える非エルミート系における現象との関係を明らかにした点で重要な成果である。現代物性物理の主要な3概念に統一的な理解を与えた我々の研究は、既に国内外のグループにおける派生研究を誘起した点においても、意義深いと考えられる。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
すべて 2020 2019 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
Physical Review Letters
巻: 124 号: 8 ページ: 086801-086801
10.1103/physrevlett.124.086801
130008155278
巻: 123 号: 9
10.1103/physrevlett.123.097701
Physical Review B
巻: 99 号: 8 ページ: 1-17
10.1103/physrevb.99.085127