研究課題
特別研究員奨励費
セロトニンは報酬や罰、期待、情動や睡眠覚醒、運動など多岐にわたる機能を担うものの、動物の行動制御における役割には不明な点が多い。この問題に取り組むため、大脳皮質の運動制御における役割に注目し、セロトニン操作の結果を検証するのに必須となる運動量の定量化評価系の開発に取り組んだ。前年度に開発した、ホイールを用いて前肢運動をマウスに行わせる行動実験において、光遺伝学を用いた脳活動の抑制実験と筋電図の定量評価を行った。課題と脳活動の関連を確かめるため、抑制性神経細胞にのみ光感受性タンパク質チャネルロドプシンを発現するマウス系統を用い、運動開始時に光照射し抑制性神経細胞を活性化させたところ、筋電図において非照射時の筋電図と明確な違いが現れることを確認した。しかし、この課題に対する脳活動の抑制効果はわずかであり、運動の開始や継続といった行動に対しては大きな影響がみられなかった。そこで、運動課題の大きな見直しを行い、4つのスパウトからランダムに水滴を出すことで、マウスに4方向のリーチングを行わせる課題を構築した。マウスは約3週間で課題を学習することが可能だと確認し、さらに最先端の電極であるNeuropixelsを用いて、運動中マウスの大脳皮質とその下部脳領域の大規模なニューロン活動を記録した。現在は得られた大規模データの解析を行っており、さらにホイール運動課題の時と同様、光遺伝学を用いた脳活動の抑制実験を行う予定である。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
すべて 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
The Journal of Neuroscience
巻: 38 号: 44 ページ: 9402-9413
10.1523/jneurosci.1671-18.2018
Neuroscience
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