研究課題
特別研究員奨励費
木星放射線帯の時間・空間変動を説明するシナリオの一つとして、熱圏の風速場が磁力線を介して放射線帯に影響を及ぼしている、というシナリオが提唱されている。本年度はALMAの上層大気風速場観測データからシナリオの検証を進めた。データは空間分解能やS/Nが十分では無いものの、昼夜間対流や風速擾乱成分を抽出することができた。昼夜間対流は放射線帯の朝夕非対称性と関係しており、風速擾乱成分は放射線帯電子の拡散係数に対応する。昼夜間対流は予想していた風速よりも遅い可能性が示唆され、放射線帯空間分布を説明する別のシナリオを準備する必要があることがわかった。風速擾乱成分から拡散係数を見積もると、過去に提唱されてきた値を概ね一致した。これらの結果は今後の観測で再確認する必要があり、次回の提案に向けた課題を整理できた。また、木星オーロラやイオプラズマトーラスが放射線帯に与える影響を調べるため、ひさき衛星のデータ解析を進めた。本年度はひさき衛星の位置ずれを補正する手順を改良し、ガイドカメラ故障後の2016年~2019年のデータに対して適応した。オーロラの強度変動については同時期のハッブル宇宙望遠鏡のデータと同様の傾向が得られ、解析手法に問題無いことが確認できた。イオトーラスの発光強度変動からは小規模な火山活動の増大が確認され、木星磁気圏への影響が予想される。今後ひさきとインドの電波干渉計GMRTのデータを比較し、オーロラ変動や火山活動が放射線帯に与える影響を調べる。電波干渉計データについては、電離層変動による電波イメージに歪みを補正する新たな解析パイプラインを導入した。この解析パイプラインにより微弱な構造を検出だけでなく、再現性・解析時間の短縮も可能となった。今後はすべてのデータに対してパイプライン処理を施し、木星放射線帯に時空間変動があったか調べる。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
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