研究課題
特別研究員奨励費
本年度の研究ではこの電荷秩序構造を決定し、更に300 K付近に短距離磁気秩序と格子歪による相転移を発見した。いままで、この物質は電荷秩序相関長が短く、回折線信号の消滅則は複雑なものであり、電荷秩序構造に関する議論が続いていた。化学当量的な試料を用いて電荷秩序構造や磁気測定等の議論を行っている。電荷秩序構造を議論するためにX線回折により逆格子空間の観測を行った。その結果ラウエ群は2/mで表現されるシンプルな消滅則になり、この結果から電荷秩序を考え単斜晶系の5種類の電荷秩序模型を導出に成功している。今年度はこれらの結果を議論するために、電気伝導率に依存しない第二次高調波発生(SHG)や圧電応答顕微鏡(PFM)による分極測定の測定から電荷秩序構造を調べることにした。その結果SHG測定からは点群mの非線形光学応答テンソルしかうまく測定結果を説明できないことから電荷秩序モデルをCmに一意に決定することができた。同様にPFMの結果についてものこの物質は六方晶c軸方向の抗電場が小さいことが判明した。以上のことから電荷秩序モデルを一意に定めることができた。磁気秩序構造に関しても調べるため中性子回折実験を詳細に解析した結果、磁気転移点以上で1/3 1/3 0付近に短距離磁気秩序によるブロードな磁気反射が見られ300 Kで消失した。この温度付近のメスバウアー分光によりFe3+の磁気秩序が磁気点以上で見られこれも300 Kで消失した。この付近には強い比熱異常も観測され、Fe3+の部分磁気秩序と格子歪が同時に起こる転移であると結論づけた。この温度で焦電気電流ピークもあることから磁気秩序と誘電性が結合する可能性の高い興味深い転移を発見した。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Journal of the Physical Society of Japan
巻: 88 号: 4 ページ: 044701-044701
10.7566/jpsj.88.044701