研究課題
特別研究員奨励費
腎動脈・輸尿管投与ルートによる腎臓押圧・吸引圧遺伝子導入法の最適条件下での腎障害性について評価した。糸球体濾過機能の指標である血清クレアチニン、血中尿素窒素は、いずれの投与ルートでも変化はなかった。尿細管の指標である尿中N-acetyl-β-D-glucosaminidaseは、腎動脈投与では変化がみられなかったものの、輸尿管投与ルートでは投与から24時間後時点で一過性に上昇したが、48時間以内に正常レベルまで回復した。さらに、HE染色による組織形態変化を評価した結果、輸尿管投与では圧力刺激の有無に関わらず、投与から24時間後時点で髄質において出血、集合管の炎症、尿細管拡張が認められたが、ゲンタマイシン腹腔内投与群と比較すると僅かであった。一方、腎臓押圧・吸引圧法による遺伝子治療を実現するためには、腎線維症モデル動物における治癒・再生効果を得る必要がある。そこで、虚血再灌流から3週間経過したモデルを腎線維症マウスとして用いた。腎線維症マウスでは血管希薄化と間質線維化により分散性は若干劣るものの、間質領域の線維芽細胞、筋線維芽細胞において遺伝子発現が可能であった。経血管ルートで腎臓吸引圧法によりpCpG free hHGFを単回投与し、腎臓の治癒・再生効果を評価した。推定腎臓体積減少率に関しては、いずれの投与群でも改善がみとめられなかった。マッソントリクローム染色の結果、対照群(Sham群、吸引圧無し群、pCpG free LacZ投与群)群と比較して、pCpG free HGFを投与した吸引圧群において間質領域での細胞外マトリックスの蓄積は改善された。よって、経血管ルートでの腎臓吸引圧法によるpCpG free hHGF単回投与では、腎虚血再灌流後に腎線維化が進行したモデルマウスにおいて、腎体積減少に対する改善はみとめられなかったものの腎線維化を改善できる可能性が示された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Pharmaceutics
巻: 12 号: 2 ページ: 114-114
10.3390/pharmaceutics12020114
PLoS ONE
巻: 15 号: 2 ページ: e0228203-e0228203
10.1371/journal.pone.0228203