研究課題
特別研究員奨励費
我々は、微視的な局所Fermi液体論と数値くりこみ群(NRG)を用いて、以下の2点の研究を重点的に進めた。(1)カーボンナノチューブ(CNT)量子ドットにおける近藤状態のスケーリング関数(2)N個の不純物軌道を有する量子ドットにおける非平衡輸送現象(1)の研究では、我々は大阪大学理学研究科小林研介研究室による実験で観測された、磁場中のCNTドットにおけるSU(4)-SU(2)近藤クロスオーバーの温度依存性について、コンダクタンスのスケーリング関数の磁場依存性を調べた。そして、磁場によりその関数はSU(4)近藤状態の関数から、SU(2)近藤状態のものへ変化していく事が分かった。また、磁場がSU(4)近藤温度よりも十分小さい場合に、我々はスケーリング関数の局在電子数Mに対する依存性も解析した。低温領域では先行研究により、M=2の場合の関数は、M=1の場合の関数よりも大きい事が分かっていた。我々は、このスケーリング関数のMによる違いは、3体相関がM=2の場合は0となるが、M=1の場合は有限となるためである、という事を示した。我々は(1)の成果を論文としてまとめ、Physical Review B に投稿中である。(2)の研究では、我々はN個の不純物軌道を有する量子ドットを透過する、非平衡電流および電流ノイズの局在電子数 M に対する依存性を解析した。そのために我々は、電流やノイズのバイアス電圧eVに対する3次までの応答項を導出した。我々は、これらの非線形応答項は2体相関と3体相関に依存しており、M=1およびM=N-1の領域で、3体相関が特に強められる事を示した。また非線形ファノ因子はこれらの領域で発散し、N>2ではUの大きさにより、その発散の仕方が異なる事を明らかにした。我々は(2)の結果をLetter論文にまとめ、Physical Review Letters に投稿中である。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 オープンアクセス 5件、 査読あり 3件) 学会発表 (26件) (うち国際学会 10件、 招待講演 1件)
arXiv.org > cond-mat > arXiv:2003.12715
巻: -
arXiv.org > cond-mat > arXiv:2001.08348
JPS Conf. Proc.
巻: 30
10.7566/jpscp.30.011175
10.7566/jpscp.30.011174
Journal of Low Temperature Physics
巻: special issue for anniversary 号: 5-6 ページ: 1-34
10.1007/s10909-019-02232-4