研究課題
特別研究員奨励費
これまでの養子免疫療法は、血液がんに対しては一定の効果が報告されてきたものの、固形がんに対しては臨床応用へ結びついていなかった。その原因として、患者末梢血T細胞を体外で増殖させ投与する従来の自家移植法では、取り出したT細胞が既に疲弊してしまっている問題がある。また、健常人の免疫細胞を用いた他家移植法は、拒絶や移植片対宿主病が生じてしまう問題がある。申請者は、iPS細胞技術からT細胞を再生する新しい戦略で、固形がんに対する養子免疫療法の開発に取り組んだ。固形がんの中でも特に免疫原性が高い腎細胞癌を対象とし、腎癌細胞株をマウスの腎臓に移植した同所性ゼノグラフトモデルを作製し、その効果を検証した。また、細胞株だけでなく、患者由来腎癌のゼノグラフトモデルを用いることで、実臨床に近い条件で、iPS細胞から再生した抗原特異的T細胞療法の抗腫瘍効果を評価した。腫瘍の不均一性を保持する実際の患者がんから樹立した腫瘍モデルで、再生T細胞の治療効果を世界で初めて確認した意義は大きいと考えられる。申請者が引き続き研究を発展させることで、既存の抗がん剤治療や放射線治療、また分子標的薬治療で効果が得られなかった腎細胞癌に対して、iPS細胞から大量に再生したCTLを用いた新しい免疫細胞療法が開発できることを期待する。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
すべて 2020 2019 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)
iScience
巻: 23 号: 4 ページ: 100998-100998
10.1016/j.isci.2020.100998
120006826710