研究課題
特別研究員奨励費
レプトスピラ属細菌は250以上の血清型に分類され、様々な哺乳動物に経皮的に感染する。感染後の症状は動物種によって異なり、一部の動物ではレプトスピラが腎臓に持続的に感染し、保菌動物となる。保菌動物は本症拡大の主因であるため、「どの血清型がどの動物に持続感染できるか」という各血清型の選好性(宿主との相性のようなもの)を理解することは、感染拡大の抑止を狙う創薬においても重要課題であるが、そのメカニズムは未だ明らかにされていない。本研究では、レプトスピラの宿主選好性を決める可能性因子として、「動物組織への接着性」と「接着後の運動性」の2つを挙げ、これらの実験的検証を行うこととした。採択後早々に、動物細胞の単層シート作製に着手した。レプトスピラの主要の定着臓器腎臓細胞(NRK、MDCK、Vero、MDBK、TCMK、HK-2など)を顕微鏡観察用チャンバー内に単層培養する手法を確立した。各動物に対して、非感染性、不顕性感染性(維持感染)、病原性のいずれかを示すいくつかのレプトスピラ血清型を選別し、それらに対する蛍光タンパク質遺伝子導入を試みた。いくつかの蛍光タンパク質について発現効率と蛍光強度を比較し、緑色蛍光タンパク質GFPを使用することに決めた。しかし、計測可能な蛍光強度を示す血清型は数種類に限られたため、本研究では、病原性2株と非病原2株を使用することとした。レプトスピラ3株と動物細胞2種を組み合わせて、細胞上でのレプトスピラの接着と運動を1細胞レベルで計測したところ、病原性発揮ペアは、非感染性ペアに比べて、接着性と運動性がともに高いという、動態因子と病原性の間に相関がみられた:①病原性レプトスピラが感染初期に宿主細胞に対して強い結合性および滑走運動能力を示した;②病原性レプトスピラが感染初期に宿主細胞における滑走運動は強い方向的一致性を示した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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