研究課題
特別研究員奨励費
本研究では、細胞質に蓄積したDNA断片によるSASP誘導機構について解析し、その制御方法を探索し、加齢性疾患の制御を目指すことを目的とする。具体的には①細胞質にDNA断片が蓄積する分子メカニズムを解明し、②細胞質DNAセンサーを介した新たなSASP誘導機構を明らかにし、③細胞質DNAセンサーを介したSASP誘導機構が生体内で加齢性疾患の発症へ関与している可能性を検討する。平成31年度は上記①、②の続きと③に関して解析を行った。昨年度までにゲノムDNAの切断と細胞質への蓄積に関わることが示唆された候補分子を同定し、これは細胞老化で発現が低下する分子であったので、その発現制御メカニズム見出している。①、②に関して、この候補分子はRNA-DNA hybridsの分解に関与する因子であったため、老化細胞でRNA-DNA hybridsが蓄積するのか解析を行った。その結果、老化細胞ではゲノムDNAにRNA-DNA hybridsが蓄積していることを見出した。ゲノムに蓄積したRNA-DNA hybridsはゲノム不安定性、ヘテロ接合性の消失、繰り返し配列の欠損に関係しており、この候補分子の発現が老化細胞で低下することによりゲノムDNAが断片化されることが示唆された。一方で③生体内での関与に関して、上記の候補分子のノックアウトマウスが完成し、実験の条件検討等を行った。そのため、ノックアウトマウスを用いた生体での解析までは終わらせられなかったが、データベース解析を行い、加齢とともに原因遺伝子の発現が生体でも低下する可能性があることや、早老症の一つであるウェルナー症候群細胞で原因遺伝子の発現が低下していること、子宮頸がん、卵巣がん、大腸がんの予後に重要であることを見出した。以上のことを論文にまとめ国際誌に投稿中である。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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