研究課題
特別研究員奨励費
本年度は、仮説2および3の検証を目的に、天敵となる捕食者の腸内に残存する被食者DNAの検出を行った。仮説検証にあたっては、最初にヒメハナカメムシ類による害虫への捕食圧を明確にするため、被食者DNAの消化時間を調査した。アザミウマの摂食から48時間後までのヒメハナカメムシを用いて被食者DNAの検出を行った結果、捕食6時間後までの検出率は100%であり、12時間後から減少する傾向が見られた。更に、捕食から約18時間で被食者DNAが消化による半減期を迎えることが明らかになった。また、試験圃場で採集したヒメハナカメムシの捕食後の経過時間を推測するために1日の活動リズムを調査した。その結果、本種は、日出から日没まで活動する昼行性昆虫であることが判明した。このことから、採集したヒメハナカメムシは、捕食から最低15時間は経過していると考えられる。従って、ヒメハナカメムシ類の捕食内容物調査においては、被食者DNAの検出率が50~60%以上であれば対象とする害虫に高い捕食圧をかけていたと推測できる。次に、密度変動が確認された天敵の捕食内容物を調査した。本調査では、アニーリング温度を65℃に設定しPCRを行ったが、検出感度の低さから捕食者体内の微量なDNAを増幅できなかった。そこで、新たに種特異的なプライマーを作成しアニーリング温度を60℃に下げたところ、検出感度の改善に成功した。その結果、85%以上のヒメハナカメムシからアザミウマやアブラムシのDNAが検出された。一方で、ヨコバイDNAの検出率が低いため、アザミウマおよびアブラムシの減少にはヒメハナカメムシが関与する仮説2が有望であり、ヨコバイの減少は仮説3の可能性が高いことが示唆された。今後は、引き続き圃場内での採集された捕食者を用いて捕食内容物の調査を行い、各生物種の密度変動を比較することで各生物種の密度変動の原因を解明していく。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Applied Entomology and Zoology
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