研究課題
特別研究員奨励費
本研究ではTHz波光源として優れた特性を有するGaSe結晶の光源実用化を目的として、高品位なGaSe結晶の成長方法の確立と成長した結晶へのデバイス化を行って いる。今年度は、前年度に成長速度の高速化が確認されたIn溶媒からのGaSe混晶の成長において成長温度を変えてIn組成の異なる結晶を成長した。成長した結晶のIn組成と格子定数の関係から、成長した結晶はInGaSe混晶であることが確認された。ホール効果測定の結果、In組成が高いほどキャリア密度は減少し、In組成の高いInGaSe混晶では低温域でイオン化不純物散乱が支配的であったことから、InはGaサイトを占有することでドナー準位を形成したと考えられる。THz波発生において励起光として使用する赤外帯におけるIn濃度2.0 at%のInGaSe混晶の吸収係数は3.9 cm^-1であり、Ga溶媒から成長したGaSe結晶の吸収係数よりも1/3ほどに減少した。また、差周波発生の位相整合角度の変化から、InGaSe混晶中のIn組成が高いほど結晶の複屈折性が小さくなることを確認した。今年度はトラベリングヒーター法により成長方向を揃えて厚い結晶を成長し、結果として厚さ0.415 mmのInGaSe混晶からのTHz波発生において (001)面内角度に対して六回対称の結晶構造を反映した発生強度変化が確認された。9.7 THzの発生においては厚さ0.86 mmのInGaSe混晶からの発生効率は3.1×10^-5 (J^-1)であり、Ga溶媒から成長した厚さ0.1 mmのGaSe結晶からの発生効率よりも26倍高い結果となった。さらに成長した混晶をTHz波光源としてブラックポリエチレンの被覆下に存在するポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルの分光測定とイメージングを行い、周波数ごとのTHz波の吸光度の違いにより樹脂材の識別に成功した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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