研究課題
特別研究員奨励費
獣医療において、重度なけいれん発作の治療モニタリングはほとんど行われてこなかった。脳波検査に基づく電気活動的な“Seizure Free”が治療の目標であるが、獣医療において現状利用可能な肉眼的観察では“Seizure Free”が達成されているかは分からない。本研究では近年獣医療で急速に普及している超音波診断装置を利用し、経頭蓋超音波ドプラ法による脳血流評価を用いたけいれん発作の新規治療モニタリング法を検討することとした。本研究では①実験的けいれん発作モデルにおける脳血流波形変化の解析、②集中治療中のけいれん発作症例犬における経時的な脳血流波形解析、のアプローチを計画した。2018年度は実験的けいれん発作モデル犬における脳血流波形変化の解析を目標とし、実験的にけいれん発作モデルを作出し、発作によって生じる脳血流波形の変化を経頭蓋超音波ドプラ法を用いて解析した。全身麻酔下の正常実験犬にペンテトラゾール持続点滴により実験的けいれん発作モデル犬を作出した。本モデルにおける発作時には脳底動脈平均血流速度の120-160%上昇、中大脳動脈平均血流速度の120-220%上昇を認め、経頭蓋超音波ドプラ法において脳血流速度上昇が発作の指標となることが示唆された。また、脳血管抵抗指標は脳底動脈で低下傾向を認め、発作時において脳血管拡張が生じていることを経頭蓋超音波ドプラ法が捉えているものと考えられた。今後、血流波形の更なる解析や他の生理的パラメータとの組み合わせにより、さらに鋭敏に発作時の血流変化を捉える指標を検討し、臨床症例において蓄積されたデータを検討する予定である。また、同手法の研究を通じて、犬の脳梗塞症例における経時的な脳血流変化を獣医学領域で初めて捉えることに成功した。学会報告および国際誌への投稿を予定している。今後も経頭蓋超音波ドプラ法の適応拡大を目標に研究を実施する。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
すべて 2019 2018 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
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