積雪変質モデルに簡易な凍土モデルを組み合わせることで、モデルで計算される土壌凍結深と圃場観測データとの比較を行い、モデルが北海道十勝地方の土壌凍結深をおおむね再現することができることを確認した。圃場観測データは、当初の計画通りに、Shimoda et al. (2015)により既に発表済みの芽室町における観測データを利用した。モデル計算には、近傍の気象庁アメダス観測データを利用した。地球温暖化時の雪踏みの適用可能性については、モデル計算において降雪が10cmある度に積雪層を500 kg m-3に圧縮する“雪踏み実験”を行うことで検討した。その結果、1990年代と比較して全球平均気温2度上昇年代においては、北海道十勝地方北部を除いて、雪踏みによる土壌凍結促進効果が弱まるということが分かった。これは、温暖化により積雪期間が短くなるため、雪踏みを行う回数が少なくなってしまうことが原因であった。一方で、この土壌凍結に関する計算は、新雪密度に強く依存しており、これは気象モデルと積雪モデルの計算において不確実な部分が多いという問題点も分かった。この不確実な新雪密度による土壌凍結計算への影響に関する問題の解決に寄与するために、降雪粒子の粒径・落下速度を適切な混合確率分布で表現することで汎用的に降雪データを解析可能な新たな手法を開発した。これにより、気象モデル・積雪モデルの新雪密度の計算に必要な詳細な降雪粒子の性質に関する情報を観測データから得ることができるようになるため、土壌凍結深の計算精度が今後向上することが期待される。
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