研究課題
特別研究員奨励費
近年、北半球中緯度域では冬季における地上気温が低下傾向となっている。その一因として、惑星波の成層圏への上方伝播強化に伴う極渦の弱化と、そのシグナルの下方影響という成層圏過程の寄与が指摘されている。また、北極域における海氷域の減少が、成層圏過程を介して対流圏中緯度域での低温傾向に寄与している事も指摘されている。本研究では、成層圏での極渦弱化を引き起こす要因について、再解析データと数値実験結果の解析から調べた。研究第一年度において、海氷域変動による影響は熱帯成層圏東西風の準二年振動 (quasi-biennial oscillation; QBO) の位相によって異なる事を見出した。特に、東風位相時のみで海氷域減少に伴う極渦の弱化が見られた。研究第二年度においては、このQBO位相依存性が生じるメカニズムの解析を中心に行なった。QBO位相別に、成層圏と対流圏における基本場の違いを調べ、その違いが海氷域変動に伴う大気応答に及ぼす影響を考察した。成層圏では、QBOに伴う東風領域の分布の違いと極渦の強さの違いが、少氷に伴う惑星波上方伝播応答の違いに及ぼす影響に着目した。対流圏では、ユーラシア大陸上での惑星渦度の南北勾配(導波管)の違いが、バレンツ・カラ海での少氷に伴う定常ロスビー波応答に及ぼす影響に着目した。この結果は原著論文としてまとめ、投稿した。また、近年の北極域における海氷域減少が成層圏の極渦弱化に及ぼす影響の強度とモデル間誤差を評価するために、成層圏までを陽に解像する4つの大気大循環モデルを用いた海氷感度実験の結果の解析も実施した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
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