本研究では、学歴結合が夫婦関係の解消(離別)に与える影響に着目した。具体的な課題として以下の二つを検討した。まず、 70年にわたる出生コーホートにおいて学歴結合と離別の間に関連があるか、及びこの関連がコーホート間で変化しているかを解明することとした。この際、計量分析によって得た推定値をもとに、本人・配偶者の平均教育年数や学歴ごとの平均初婚年齢、失業率と いった離別行動に影響する要因を調整した数理シミュレーションを行う。次に、学歴結合と離別の関連かがなぜ生じているかを説明する要因を解明する。特に、婚外子を持つことが難しい日本的な文脈において特徴的な婚前妊娠が、妻下降婚と関連を持つことから、学歴結合パターンと離別行動の関連が;、婚前妊娠やこれに伴う早婚により説明されるかを検討することを目指した。採用期間(2018年4月-8月)における当初の計画については、概ね達成された。提出した研究計画では、4-7月期において課題①「学歴結合が離別に与える影響のコーホート比較」を進めつつ、研究成果をアメリカ人口学会と国際分析社会学ネットワークで報告するとした。後者の学会については日程の都合上キャンセルしたが、前者では予定通り学会報告を行った。8-11月期では、研究課題①の成果をまとめ、学会誌への投稿を行うとしたが、予定通り課題についてはすでに学術雑誌に投稿し、査読を経て掲載が決定した。また、並行して進める予定だった日本の婚前妊娠カップルの特徴を先進諸国で増加する非婚カップルとの比較から検討する計画については、その成果の一部を学会において報告した。研究課題②「婚前妊娠と早婚に着目した学歴結合と離別行動の分析」については、本特別研究員を途中で辞退することになったため、十分に進めることができなかった。
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