研究課題
特別研究員奨励費
本研究は、逆行性越シナプストレーサーである狂犬病ウイルス(RV)ベクターと、順行性トレーサーであるアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを利用した双方向性多重蛍光トレーシング手法を確立し、大脳皮質―大脳基底核ループ回路の入出力様式を明らかにすることを目的とする。前年度は、ラットの皮質脊髄路を短期間(注入後3日から一週間程度)で十分に可視化できるAAVベクターを特定した。そこで本年度は、マカクザルの運動前野の背側部と内側部(PMd/PMv)に線条体における順行性の軸索ラベルと逆行性の細胞ラベルが同時にあられるか調べた。その結果、注入後の生存期間が3日の場合、RVベクターによる逆行性細胞ラベルが線条体で観察されるのに対し、AAVベクターによる順行性軸索ラベルは見られなかった。この結果から、AAVベクターがマカクザルの皮質線条体路において十分な順行性軸索ラベルを得るためには、生存期間が3日では不十分であることが分かった。当該AAVベクターは生存期間が一週間でマカクザルの皮質線条体路において順行性軸索ラベルを得るのに十分であるため、双方向性多重蛍光トレーシングが実現可能には、より感染伝播速度の遅いRVベクターが必要であることが明らかになった。この検討実験では、AAVベクターによる順行性軸索ラベルは得られなかった一方で、RVベクターによる大脳基底核内の逆行性細胞ラベルは得ることができた。そこで、これらの細胞ラベルの分布様式を解析し、大脳基底核内の各核からPMd/PMvへの出力様式を調べるために、逆行性越シナプス的二重トレーシングを実施した。大脳基底核における細胞ラベルの分布様式を解析した結果、線条体あるいは視床下核・淡蒼球外節を介して淡蒼球内節から2つの皮質領野に出力する細胞の分布様式に違いがあることが明らかになった。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Scientific Reports
巻: 9 号: 1 ページ: 3567-3567
10.1038/s41598-019-39535-1
120006818701