研究実績の概要 |
本研究では空港周辺の航空機が連続的に着陸する過密状況における,安全で効率的な航空管制システムの構築を目指し,(1)混雑度合いに応じたスケーラビリティ最適化(適応性の向上),(2)悪天候状況下におけるロバスト性の向上,(3)航空管制官の認知的負荷低減に向けたシステムと人との協調型最適化という3つのテーマに取り組む.令和元年度においては,(2)悪天候状況下におけるロバスト性の向上,(3)航空管制官の認知的負荷低減に受けたシステムと人との協調型最適化を実現すべく,(2)-I:様々な環境に適応するための並列化手法,(2)-II:複数の評価指標における航空機のスケジュール提示に取り組んだ.具体的は(1)-Iでは異なる交通流の密度においても,予めパラメータセッティングを行わず,航空機同士の衝突危険性のない実行可能な有効なスケジュールを獲得した.(2)-IIでは航空管制官意思決定支援に向けたスケジュール候補の複数解提示のため,燃料消費量,入域時刻という二つの指標で評価した場合に,異なるスケジュールを獲得することを明らかにした.これにより多目的最適化法に展開した場合の複数の選択肢の提示が期待される.これらの成果は第19回電子航法研究所発表会において本研究を発表した.また,昨年度のインテリジェント・システム・シンポジウムにおいて発表した最適化手法が評価され,今年度,電気学会の技術委員会奨励賞を受賞しおり,対外発表を積極的に行い,成果の評価を受けている.
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