研究課題
特別研究員奨励費
本研究ではまず無機カチオンを包接する非晶質アルミノシリケートの構造解析を目指した。本研究ではX線異常散乱法を用いた特定の無機カチオン周辺の部分相関解析を実施した。その結果RHO型ゼオライト中でCsが存在する位置であるd8rユニット由来の構造に類似したパターンが非晶質前駆体サンプルで確認され、ANAなどのほかの結晶構造と比べてRHO型ゼオライト前駆体中のCs周辺にすでにd8r類似構造がCs周辺に誘起されている可能性が示唆された。このような知見はこれまでのアプローチでは明らかにすることが困難であった領域であり、ゼオライト結晶化メカニズム解明における本手法の有用性が示された。また、有機構造規定剤(OSDA)を包接する非晶質アルミノシリケートの構造を選択的に抽出することでOSDAがゼオライトの結晶化の過程でどのようなアルミノシリケート構造を誘起するか明らかにした。具体的にはOSDAの焼成除去前後の散乱パターンの差分を取りOSDAに関係する相関を抽出する方法、並びに中性子線(X線と比較して軽元素の散乱が強い)とX線の散乱から算出したPDF解析を併用することでOSDAに包接するアルミノシリケート構造の直接的な評価を試みた。その結果、*BEA型ゼオライト前駆体中でOSDAがクラスター構造を形成していることが強く示唆された。このようにX線・中性子線散乱を組み合わせることで有機物・アルミノシリケート骨格の両者の構造を包括的に理解することが可能になることが示された。そして、in situ条件下でのHEXTS法によるPDF解析に加えて、上述のX線異常散乱法や有機物差分法で適用した差分解析を駆使することで誘導時間中の微小な構造変化を可視化することを目指した。その結果、誘導期間中においてアルミノシリケート種の縮合が進行しゼオライト前駆体中のリング分布が徐々に変化していく過程が初めて明らかになった。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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