研究課題
特別研究員奨励費
本課題の最終ゴール設定はイオン液体推進薬(ADN-EILPs)を用いた小型一液スラスタシステムの提案であった.本年度は昨年提示した,次に示す3つの研究課題に取り組んだ;(1)CWレーザ着火におけるレーザパラメータの整理と相関性評価,(2)スラスタシステムの検討とスラスタ設計フローの提案, (3)ラボラトリモデル(LM)スラスタ試験の設計・燃焼試験の実施.課題(1):サンプルの着火遅れ時間の定量評価のために,サンプル表面における安定したレーザ照射状態を保証可能なレーザ着火用実験系を構築した.当該実験系を用いて,レーザ強度とADN-EILPsの着火遅れ時間の相関を検証した.レーザ強度に対するADN-EILPsの着火遅れ時間の分布は,前年度研究の考察に基づいた予測とは異なる傾向を示した.温度履歴解析および光学観察の結果から,本傾向はADN-EILPsの熱分解で発生する気泡によって光学的遮蔽効果があることが推測された.課題(2):吸光材を推進薬供給方法としても用いる毛細管浸透型推進薬供給法と燃焼下限圧力以下の燃焼圧設計よりADN-EILPsの着火と消火をパルス的に繰り返し推力獲得するスラスタ概念を導出した.さらに当該スラスタの設計フローを構築した.課題(3):(2)で述べたスラスタ概念および設計フローに基づき,LMスラスタを試作し,着火試験からLMスラスタの推進特性を評価した.圧力履歴,推力履歴および動画の解析から,概ね3 sの着火遅れで推力が発生することが確認された.当該着火試験の結果から,提案されたスラスタ概念は実現可能であることを見出した.提案されたスラスタ概念は,既往の一液スラスタとは根本的に異なる機構である.そのため,本研究課題を通して,現存しない革新的なスラスタシステムの提案に至った.更に,0.5 U級の超小型スラスタモジュールの構成例を示した.
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 産業財産権 (1件)
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