研究実績の概要 |
当該年度はライフコース疫学の観点から、研究1として若年層における身体活動と健康度自己評価との関連、研究2として中年層における社会経済的地位と座位行動時間との関連を検討した。これらの研究は、オーストラリアのクイーンズランド大学との共同研究として、研究1ではAustralian Longitudinal Study on Women’s Health (ALSWH)、研究2ではHow Areas in Brisbane Influence healTh and AcTivity (HABITAT)のデータを用いた二次解析を行った。研究1では、18-23歳の女性17,012名を対象に質問紙調査を実施し、身体活動量と健康度自己評価との関連を検討した。その結果、最も身体活動レベルが高い群を基準とした場合、各群における健康度自己評価が低い確率が高いことが示され、両者の用量反応関係が認められた。研究2では、40-64歳の男女16,128名を対象とした質問紙調査(2007年、2009年、2011年、2013年の計4回)を実施し、11,035名の調査データを用いて社会経済的地位(収入、教育年数、職位、居住地)と座位行動(テレビ視聴、移動、コンピュータ使用、余暇時間、仕事)との関連を検討した。その結果、社会経済的地位の要素および座位時間のドメインによって異なる関連性が確認され、死亡リスクへの影響が認められているテレビ視聴時間においては、収入、教育年数、職位、居住地の全ての社会経済的地位と独立した関連性が認められた。本知見により、社会経済的地位が低い者では健康リスクとなる座位行動時間が過多になりやすいことが示唆された。
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