研究課題
特別研究員奨励費
今年度はウミヘビの中で唯一の外洋種のデータを加えて解析した。結果,他の海棲種では見られなかったLWSオプシンでの両棲種のウミヘビと同じ短波長シフトの置換を外洋種のウミヘビで確認した。本研究では海棲適応の結果としてごく稀に起こることが知られる292Pへの置換を両棲ウミヘビのLWSオプシンで見つけている。外洋性のウミヘビにおいては,他の海棲種にはないRH1オプシンの181Nへの置換も新しく確認した。これらのアミノ酸置換により起こる吸収波長のシフトは未計測であったため,本研究でマウスのオプシン配列を用いた計測を行った。その結果,181Nへの置換は短波長シフトを,292Pへの置換は短波長シフトを起こすことがわかった。以上の外洋種のウミヘビの結果から,両棲の結果とともに波長の限られた海へのウミヘビの視覚の海棲適応が示唆された。これまで得られた配列データを用いて,適応進化の解析を行った結果,吸収波長のシフトを起こしていると予測されたチューニングサイトにかかる正の選択圧を確認した。そのため,吸収波長を起こしたサイトにおけるアミノ酸の置換は,海棲適応の結果起こったという結果をより強く支持した。ウミヘビの生息環境の限られた波長しか存在しない海中の光環境の計測を行い,ウミヘビ類の視覚の海棲適応を考察した。ウミヘビの生息域に見られるサンゴ礁,砂地,泥池といった様々な地質からなる光環境の特徴を比較した。その結果,各環境の光波長の特徴が多様であることや,外洋は海底からの光の反射がないため暗くなることなどが,データとして表すことができた。これらの結果をまとめ,国内と海外で開催された爬虫類両生類学会において発表した。特に,ニュージーランドで開催されたWCH9では,ウミヘビ研究のセッションが開催され,ウミヘビの視覚の進化を生態ごとにまとめた研究として,他のウミヘビ研究者に注目された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Galaxea, Journal of Coral Reef Studies
巻: 21 号: 1 ページ: 7-8
10.3755/galaxea.21.1_7
130007709328
日本進化学会ニュース
巻: Vol.19 No.3