研究課題
特別研究員奨励費
本研究では磁性原子であるEu原子を含む結晶反転対称性の破れた化合物EuPtSiがf電子系で初めてスキルミオンの磁気構造を持っていることを明らかにした。本研究ではMoるつぼを使ったブリッジマン法で初めてEuPtSiの単結晶試料の育成に成功し、4.0 Kで反強磁性転移があることを明らかにした。また、ネール温度以下の温度2 Kで行なった磁場を[111]方向に加えた磁化曲線には二段階のメタ磁性転移が存在し、このメタ磁性転移が起こる磁場HA1と HA2は0.5 K以下では観測されず閉じた磁気相を形成していることが明らかになった。このEuPtSiの磁気相をA相と名付け、このA相内の物性について研究を進めて行ったところA相ではスキルミオンの磁気構造に由来する創発磁場のためホール抵抗にトポロジカルホール抵抗と呼ばれる異常が観測された。磁場を[100]方向に加えた際にはHA1, HA2の間だけではなく新たにもう一つの閉じた磁気相であるB相が観測され、[110]方向と[112]方向に加えた際には観測されないことも明らかになった。これらのEuPtSiのA相の磁気構造は共同研究者によって中性子散乱実験や共鳴X線散乱の実験がなされていて、スキルミオンの特徴であるtriple-qベクトルが観測されている。そのためEuPtSiのA相はスキルミオンである可能性が非常に高いと言え、これらの実験から得られたqベクトルから得られたスキルミオンの形成する渦の大きさは18オングストロームであることが見積もられた。このスキルミオンの大きさはこれまでに知られているMnSiのスキルミオンの大きさ180オングストロームに比べて1桁小さい値となっている。EuPtSiのA相はMnSiのA相との共通点も多いが、異方性やスキルミオンの大きさなど全く異なる振る舞いも見られた。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (2件)
Journal of the Physical Society of Japan
巻: 88 号: 1 ページ: 013702-013702
10.7566/jpsj.88.013702
40021772136
巻: 88 号: 1 ページ: 014702-014702
10.7566/jpsj.88.014702
210000135071
巻: 88 号: 1 ページ: 014705-014705
10.7566/jpsj.88.014705
40021772181
巻: 88 号: 1 ページ: 013704-013704
10.7566/jpsj.88.013704
40021772143
巻: 87 号: 2 ページ: 023701-023701
10.7566/jpsj.87.023701
40021463195