研究課題
特別研究員奨励費
運動前に20分間の自発的過換気を行うと、過換気を行わない場合と比較して無酸素性代謝がより亢進することが示唆されている。無酸素性代謝亢進のために過換気を現場へ応用する際、20分間の過換気はトレーニング時間を過度に伸ばしてしまう可能性があり現実的ではない。我々は昨年度、過換気を行わない場合と比較して5分間の運動前自発的過換気が20分間のそれと同程度、高強度運動時の無酸素性エネルギー供給量を増加させることを示唆した。しかしながら、5分間の自発的過換気が全力自転車運動時のパフォーマンスおよび呼吸代謝応答に及ぼす影響は明らかではない。これについて検討した結果、5分間の自発的過換気は20分間のそれと同程度、自由呼吸と比較してパフォーマンスに影響することなく全力自転車運動時の無酸素性代謝を亢進することが示唆された。また、自発的過換気は高強度運動時の循環応答も抑制することが示唆されていが、そのメカニズムは明らかではない。頸動脈小体に位置する末梢化学受容器は、中枢化学受容器と比較してその貢献度は小さいものの、血中の二酸化炭素 (CO2) 分圧の変化を感知することが報告されている。先行研究では低酸素吸入により末梢化学受容器を刺激すると、常酸素吸入の条件より運動時の心拍数や動脈血圧が増加することを報告している。従って、自発的過換気による低CO2血症は末梢化学受容器反射を抑制することで高強度運動時の循環応答を抑制している可能性があるがこれに関しては明らかではない。高酸素吸入は末梢化学受容器を一時的に抑制できることから、この高酸素吸入を用いて自発的過換気による低CO2血症が高強度運動時の循環応答に及ぼす影響に関して検討した。その結果、自発的過換気による低CO2血症は末梢化学受容器反射を抑制することで、高強度運動時の心拍数を抑制する一要因である一方、動脈血圧の抑制には影響しないことが示唆された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020 2019 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 4件)
European Journal of Sport Science
巻: 17 号: 8 ページ: 1-8
10.1080/17461391.2020.1812728
Medicine & Science in Sports & Exercise
巻: 53 号: 4 ページ: 845-852
10.1249/mss.0000000000002537
American Journal of Physiology-Regulatory, Integrative and Comparative Physiology
巻: 印刷中 号: 5 ページ: R535-R542
10.1152/ajpregu.00203.2018