研究課題
特別研究員奨励費
地域スケールの生物多様性・生態系サービスの将来シナリオ分析に向けて、将来社会シナリオの叙述を定量化するために社会・生態システム統合モデルを開発することが目的である。課題は、1.日本の陸域生態系の植生動態シミュレーションの再現性の向上を図ること、2.将来シナリオで想定される生態系管理を柔軟にモデリングすること、3.社会・生態システムを俯瞰する包括的な評価を行うことである。課題1では、LANDIS-II NECNに、チシマザサによる林床照度減少に伴う定着確率と成長量低下を実装した。北海道渡島檜山森林計画区の風倒地では、気候変動に伴う気温上昇で積雪深が低下することでササの現存量や木本の定着確率の変化を引き起こすことが示唆された。林床のササの現存量が小さく前生樹が豊富な風倒地では、気候シナリオによらず森林再生が期待できることも示された。課題2と3では、前年度に取り組んだ再生可能エネルギーの導入による生態系影響のシナリオ分析を国際誌と国内学会で発表した。生態系保全と両立した脱炭素政策の設計に向けて、地域エネルギー需要に関わる人間社会側の間接駆動因の設計が重要であることを示した。さらに、IPBESのNature Futures Frameworkを参考に、3つの異なる視座からシナリオの叙述と評価指標の設計を試みた。地域の自然の関係性を「社会のため」や「文化として」理解する利害関係者と「自然そのもの」の価値を重視する利害関係者との対話が生態系管理の課題であることが示された。一連の社会・生態システムの地域スケール統合モデリングから、地域社会の将来シナリオの設計では地域生態系と人間社会の連関構造の理解が重要であることが強調された。2021年3月のJBO3でも取り上げられ、国内外の生物多様性地域戦略や議論が急激に進行中の脱炭素化に向けた景観管理への科学的情報提供に向けて今後も貢献が期待される。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 備考 (6件)
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Sustainability Science
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