研究課題
特別研究員奨励費
Fasは細胞膜表面に発現している受容体で、Fasリガンドと結合することで強力にアポトーシスを誘導することから、癌治療への応用が期待されている。しかし、多くの癌細胞がFas誘導性アポトーシスに耐性を示すことが判明し、Fasを応用した癌治療法は未だ確立されていない。本研究では、網羅的なRNAiスクリーニングを用いて、Fas誘導性アポトーシス促進因子として独自に同定したSTK11キナーゼによる、Fas誘導性アポトーシス感受性調節機構の解明を目的として研究を遂行した。Fas誘導性アポトーシスは、ミトコンドリアを介する内部経路とミトコンドリアを介さない外部経路という、二つの経路によって誘導される。特に、外部経路はより効率的にアポトーシスを誘導できる経路であるとされるが、癌細胞では外部経路の活性化が起こりにくくなっていることが示され、癌細胞におけるアポトーシス耐性の一因であると考えられている。昨年度の解析により、STK11は内部経路と外部経路の両方を活性化することでFas誘導性アポトーシスを促進していることが判明した。今年度は、① STK11による外部経路活性化機構の解析、② STK11による内部経路活性化機構の解析を行った。外部経路活性化機構の解析では、内部経路不全細胞において、STK11が抗アポトーシス因子XIAPと結合し、XIAPの自己分解を促進することを明らかにした。また、内部経路が正常に伝達される細胞において、STK11はAIFの核移行を促進することでFas誘導性アポトーシスを促進していることを見出した。さらに、癌で認められる一部の変異体STK11は、Fas依存的なAIFの核移行を促進できないことが判明し、本機構の破綻が癌の発症や増悪の一因であることが示唆された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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The Journal of Toxicological Sciences
巻: 45 号: 4 ページ: 219-226
10.2131/jts.45.219
130007825449
巻: 44 号: 6 ページ: 435-440
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