研究実績の概要 |
本年度の研究においては、学会発表、学術誌への論文投稿、編著の出版を通じて、研究成果の公開と取りまとめを大幅に進めることができた。 雑誌論文については、「「私たち(の)を分断する壁」――リービ英雄とカズオ・イシグロにおける言語・文化的帰属性と翻訳の問題」と題された依頼論文がアジア系アメリカ文学会の機関紙である『AALA Journal』第26号に掲載された。同学会の第142回例会(オンライン開催)では、同題の口頭発表を行い、他の研究者と交流を行った。また、「リービ英雄の万葉集英訳と研究――『人麻呂と日本の抒情性の誕生』解題と考察を中心に」と題された論文が査読を通過して『国文論叢』第56号に掲載された。 2021年3月13日に、日本国際教養学会第9回全国大会(オンライン開催)にて、「「越境作家」を研究する「私」―文学研究における当事者性の問題―」と題された口頭発表を行った。本発表では、「越境作家」が要求する研究姿勢について考察した。この考察は本研究のとりまとめの重要な部分を占める。 最後に、2021年3月に、編集を担当した日英バイリンガル論文集『他者をめぐる人文学―グローバル世界における翻訳・媒介・伝達―』(Adaptation, Mediation and Communication of Otherness in a Globalizing World: Perspectives from Japan)が神戸大学出版会より出版された。所属機関である神戸大学で行った共同研究の成果である本書では、「序論」の執筆と監修を担当した他、‘The Experimental Self: On the Manifestation of Difference in the Early Careers of Tawada Yoko and Levy Hideo’と題された英論文が収録された。
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