研究課題
特別研究員奨励費
2020年度は2019年度に行った距離関数の空間の理論の発展として超距離関数の空間について研究を行った.超距離関数とは距離関数の0次元への類似であり,距離空間に関するさまざまな命題の超距離空間版を証明することが試みられている.この研究の流れの中で私は以下の五つの定理に対する超距離空間版を証明した.すなわち,(1) Arens-Eellsの閉等長埋め込み定理,(2) Hausdorffの距離関数の拡張定理,(3) Niemytzki-Tychonoffの完備距離を用いたコンパクト性の特徴付け,そして私が2019年度に証明した(4) 距離関数族の補間定理と,(5) 距離関数の空間の稠密G delta集合に関する定理である.まず距離空間に関する定理(5)は(4)を使って証明されており,(4)は(2)を使って証明されている.(3)には(2)を用いた簡潔な証明方がHausdorffによって与えられており,(2)はさまざまな証明方が知られているが,(1)を用いた簡潔な証明方が知られている.私の研究の特筆すべき点として,定理の超距離空間版を証明しただけではなく証明法までもパラレルに行われたことがある.これら五つの定理とその証明法は今後の超距離空間の研究に意義がある.また,私の研究の特徴の一つはただ単に超距離空間版を証明しただけではなく,距離のとりうる値が制限された場合にも同様の定理を示したことである.こうした距離関数のとりうる値を制限することは,例えば超距離空間に対するUrysohn型の普遍距離空間を構成する研究などですでに導入されている.私の研究はこの先行研究を後押しするものであろう.定理(5)の超距離空間版からAssouad次元が無限大の超距離関数が超距離関数の空間の中で大きな位相分布を持つことがわかる.これは幾何学的次元理論に寄与すると考えられる.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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p-Adic Numbers, Ultrametric Analysis and Applications
巻: -
Journal of Fractal Geometry
Annales de l'Institut Fourier
巻: 69 号: 6 ページ: 2681-2721
10.5802/aif.3305
数理解析研究所講究録
巻: 2110 ページ: 56-70
Annales de l'institut Fourier
巻: 印刷中