研究課題/領域番号 |
18J21397
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
文化財科学・博物館学(A)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
波田野 悠夏 東北大学, 歯学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2020年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2019年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2018年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 復顔 / 人類学 / 歯学 |
研究実績の概要 |
本研究は日本人を対象とした復顔法の確立を目的とする。 特に顔を形作る重要な因子である歯列形態と咬合の影響(凸型・正常・凹型)を考慮した顔面の筋群を含めた軟組織厚の調査を行い, 客観性のある精度の高い復顔を行うための標準的指標を得ることを本研究の主目的とする。また、軟組織厚は計測部位によって姿勢の違いの影響を受ける事が予想されるため、立位・仰臥位の2姿勢についても変化を検討する。研究は、①計測基準点の設定・方法論の検討②軟組織の重ね合わせと計測③採取した軟組織厚の検証④復顔への応用の4ステップでの遂行を目指す。2年目にあたる本年は「②-1;カルテ調査から使用するデータの選別」、「②-2:②-1で抽出した顔面形状別にデータ収集(Convex(凸)型・正常型・Concave(凹)型)、②-3:1年目で確立した軟組織の計測方法でデータ収集 ③再現性の確認」が達成目標として設定していた。 倫理委員会の承認は昨年取得しており、女性の全顔面形状別の収集完了が2020年4月いっぱいの見込みである。正常症例の検討は終了している。また全カルテ調査を行ったところ該当する女性症例が67件に対し、男性症例は想定以上に症例数が少なく、女性の軟部調査に主軸をおくことになった。方法論は1年目よりもブラッシュアップされた。オリジナルモデルから相同モデルを応用し、顎変形の顕著な症例であっても、左右対称のモデルを作ることで、より正確な計測を行えることになった。 加えて本研究から派生した異分野融合研究については、昨年の新潟県長岡市の江戸時代藩主の顔貌復元に引き続き、他機関との共同研究として福島県灰塚山古墳から出土した人骨の復顔や形態分析を行った。研究成果を東北学院大学博物館の特別企画での展示やシンポジウムを通しアウトリーチに力を入れた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目にあたる本年は「①;カルテ調査から使用するデータの選別」、「②:①で抽出した顔面形状別にデータ収集(Convex(凸)型・正常型・Concave(凹)型)、③:1年目で確立した軟組織の計測方法でデータ収集 ④再現性の確認」が達成目標だった。倫理委員会の承認は昨年取得しており、女性の全顔面形状別の収集完了が2020年4月いっぱいの見込みである。正常症例の検討は終了している。また全カルテ調査を行ったところ該当する女性症例が67件に対し、男性症例は想定以上に症例数が少なく、女性の軟部調査に主軸をおくことになった。方法論は1年目よりもブラッシュアップされた。オリジナルモデルから相同モデルを応用し、顎変形の顕著な症例であっても、左右対称のモデルを作ることで、より正確な計測を行えることになった。また3年目に行う予定だった「追加すべきランドマークの検証」について、計測者間誤差の測定を前倒しで行い3月の日本解剖学会にて発表した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である本年は、方法論の確定・研究のまとめを行う。 収集した女性軟部調査で得たデータの症例別分析を引き続き行いながら、昨年行った計測者間誤差の測定結果から、再現の精査をおこない、追加すべきランドマークを検討する。特に下顔面部の形状に注目し、三次元計測ソフトを用いて、再び軟組織の重ね合わせと計測・軟組織厚の検証を行い真に有効なランドマークを示す。昨年のカルテ調査から、男性症例はConvex(凸)型:8例、正常型:6例と症例数が少なく、男性の軟部組織についての検証は性差比較の参考値程度にとどめ、女性の軟部調査に主軸をおくことに研究計画を変更したものの、男性データについても性差を考慮するため可能な限り分析を行う予定である。 また、重ね合わせる顔面形状データについて、仰臥位・座位どちらのデータがどのような点で優れているのか明らかにする。 確立した方法論に基づいて各顔貌別の軟部組織の差異について、学位論文の完成・投稿及び諸学会での発表を行う。可能であれば顔貌別の復顔像も作製を行う。 発展として幼小児を対象にしたデータ収集や、AIの活用を模索し将来的なデジタル復顔への応用を目指す基盤を作る。 古人骨への復顔、博物館等展示への協力は、江戸時代の新潟県長岡市藩主の復顔や、古墳時代の福島県喜多方市に所在する灰塚山古墳出土人骨について、既に昨年度実施済みであるが、引き続きシンポジウム等を通して、東北大学が進める文理融合研究成果を発表し、アウトリーチに力を入れていく。
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