研究実績の概要 |
本年度の研究実績として, 4次元 N=2 A1型でgenus 2のリーマン面ラベルされるclass S 理論(以下 genus 2理論と呼ぶ)について index の計算によって S-双対性を示し、さらにgenus 2理論に対応する2次元 chiral algebra (VOA) を特定することができた。 我々の計算によって genus 2理論の generator を特定し, それらの作る閉じたOPEを解明できた。 これらの内容をまとめ論文として出版された。(Kiyoshige, K., Nishinaka, T. The chiral algebra of genus two class S theory. J. High Energ. Phys. 2021, 199 (2021).)また、この論文に基づき2020年度の春季、秋季日本物理学会において口頭発表を行った。さらに2021年3月開催の国際学会、Randomness, Integrability and Representation Theory in Quantum Field Theory 2021、において口頭発表を行った。 我々の研究によって genus 2理論に付随する 2次元 chiral algebra のOPEにはオリジナルの4次元場の理論からは非自明な SU(2) Automorphism が作用していることを発見した。この SU(2)作用は、ネーター電荷が存在していないという意味で4次元の物理からは非自明であると言える。この対称性は2次元では明示的に示されているが4次元では示されていない。しかしこれは4次元の物理に無関係であることを意味しない。なぜならば、2次元のOPEと4次元のOPE常に連関しており2このOPEによってOPEが制限されているため4次元でもこの対称性がOPEを制限している。 この新たな対称性は 2次元 chiral algebra を用いることで初めて理解されたため、4次元/2次元対応の新たな側面である言える。一連の研究によって4次元超共形場理論の理解はより一層深まったと考えられる。
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