研究課題
特別研究員奨励費
本研究の目的は,数式処理と数値計算の融合による両者の利点を持ち合わせた非線形制御アルゴリズムの開発である.本年度の計画では,昨年度に予備結果として得られた状態推定手法をもとに,最適推定問題と最適制御問題の間の双対性を利用し,微分作用素環上の数式処理を最適制御問題へと適用することを予定していた.本年度では,昨年度の予備結果をもとに,より効率的に推定が行える新たな状態推定手法の提案を行った.具体的には,確率分布に対するモーメント母関数に似た新たな積分変換を導入することにより,ある確率分布に対する期待値計算を別の関数の偏導関数の計算へと帰着させた.これにより,昨年度の手法に比べて数式処理の計算量が削減できたほか,その後の数値計算においても数式処理の結果を十全に活用できるようになった.結果として,昨年度の予備結果では取り扱えないような複雑な問題に対しても数式処理を用いた提案手法が適用可能になったほか,その他従来手法に比べて提案手法がより効率的に状態推定を行えることを数値シミュレーションによって示した.当初の計画とは異なり,双対性を利用した最適制御手法の提案までは至らなかったものの,最適推定に関しては,微分作用素環上の数式処理やさらに進んでD加群の理論に基づく数式処理を応用することで,従来よりも効率的な手法の提案を行うことができた.以上の成果は,これらの新たな数学的ツールが最適制御あるいはより広く非線形システム理論に対しても有用であることを示唆するものである.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件) 備考 (1件)
SICE Journal of Control, Measurement, and System Integration
巻: 13 号: 6 ページ: 282-290
10.9746/jcmsi.13.282
Journal of Operations Research Society of Japan
巻: 63
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2020-11-09