研究課題
特別研究員奨励費
令和2年度は,Metadynamics法によってナノ粒子触媒からの炭素原子析出過程を解析し,炭素原子濃度の増加によって,析出状態の自由エネルギーが安定になること,活性化自由エネルギーが小さくなることを明らかにし,論文として出版した.解析には令和元年度にベルギーアントワープ大学・化学科・Erik Neyts准教授グループ滞在中に開発した手法を用いた.さらに,炭素原子析出過程を解析する手法を拡張し,カーボンナノチューブの初期構造であるCap構造形成過程を解析する手法を開発し,Cap構造が高温で自由エネルギー的に安定となることを明らかにした.自由エネルギーの計算にはCap構造の形成と消失を繰り返す計算が必要であるが,時間スケールがナノ秒程度に限られる通常の分子動力学では難しく,適切な反応座標を設定したMetadynamicsを用いた本手法ならではの成果である.特に,炭素原子が高濃度でナノ粒子上に存在するときにはネットワーク形成そのものよりも,Cap構造が触媒からLift-offする過程に自由エネルギー障壁があることを解明できたのは,自由エネルギー解析による成果である.また,第一原理分子動力学による炭素源分子の解離過程解析,加速分子動力学による炭素原子拡散過程解析,Metadynamicsによる炭素組織形成過程解析と,発展的な分子動力学を用いてカーボンナノチューブ形成過程の一連のプロセスを熱力学および動力学起源を原子スケールの立場から明らかにしたこれまでの研究を博士論文として総括した.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)
Carbon
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