研究課題
特別研究員奨励費
物理学的に最小の分散で固定された量子状態を推定することが可能な適応量子状態推定を実際の生体計測等へ応用させるために、我々は、時間的に変化する状態の推定が可能である連続適応量子状態推定を提案した。しかしこれまでの数値シミュレーションによる検討や実機実験による連続適応量子状態推定の実現は、測定対象が時間的に一定な変化をする光子の偏光状態に対してのみであった。実際の生体計測では、測定対象の偏光状態は線形変化のみとは限らず、様々な変化をすることが考えられるため、そのような入力に対しても検討を行う必要がある。そこで本年度は、数値シミュレーションにより、様々な入力状態(様々な変化率の線形変化、sin 関数変化、ステップ関数変化)に対して推定を行い、検討、評価を行った。その結果、どの場合においても、時間的に変化する入力状態に対して適応量子状態推定では入力状態に追従できないのに対して、提案法では入力状態に追従した推定を実現した。また、入力状態が線形変化、Sin関数変化においてその変化率が大きい場合には、提案法による推定結果は一定の遅延を持ち、その推定結果をS/2個(Sは連続適応量子状態推定において推定に使用する光子数)ずらすと入力状態に一致するということがわかった。以上より、提案した連続適応量子状態推定を用いることで、時間的に変化する偏光状態を理論限界(クラメールラオ限界)に到達する分散で推定し、より様々な入力状態に対する提案法の有効性を示した。さらに並行して単一発光体から放出される光子の偏光状態推定を実現するための実験系の設計、構築、評価を行った。これは、生体計測への応用に向けた第一歩となる。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Physical Review A
巻: 102 号: 3
10.1103/physreva.102.030401
Japanese Journal of Applied Physics
巻: 58 号: 7 ページ: 072001-072001
10.7567/1347-4065/ab21b7
Japanese Journal of Applied Physics (JJAP)
巻: 印刷中