研究課題
特別研究員奨励費
記憶が想起された後に一旦不安定な状態となり、その後再安定化することを、再固定化と呼ぶ。本研究課題の目的は、再固定化の阻害要因の解明と、再固定化を利用した介入法である「イメージ書き直し」の阻害要因を明らかにすることであった。本研究課題における、令和2年度の主な成果は以下の通りである。まず、記憶の再固定化を利用した介入技法である「イメージ書き直し」を実施して治療効果が見られた症例から、イメージ書き直しに影響を与える要因について考察した。また、イメージ書き直しの治療プロセスに関する研究を実施した。慢性うつ病の患者に対してイメージ書き直しを実施している様子をビデオ録画し、そのビデオデータを分析した。この研究によって、イメージ書き直しの治療プロセスやその阻害要因が明らかになった。さらに、この治療プロセス研究によって明らかになったイメージ書き直しの治療プロセスモデルに基づき、「幼少期の不快記憶に対するイメージ書き直しチェックリスト(Checklist for Imagery Rescripting of Childhood Unpleasant Memory: CIRCUM)」を開発中である。CIRCUMの開発によって、治療場面におけるイメージ書き直しの治療プロセスおよび治療プロセスの阻害要因の評定が可能となる。以上の成果は、記憶の再固定化の臨床応用に向けた研究を進めるという目標と、その阻害効果を明らかにするという目標に向かって、本研究が着実に進められたことを示していると考えられる。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)
行動医学研究
巻: 25 号: 2 ページ: 236-245
10.11331/jjbm.25.236
130008036394
Psychological Reports
巻: 印刷中
不安症研究
130007779815