研究課題
特別研究員奨励費
本年度は、HfxZr1-xO2 (HZO)膜の結晶構造制御及び強誘電性の向上に寄与するZrO2膜を用いた(a) HZO/ZrO2積層膜による強誘電体HZO膜の信頼性の改善、及び(b) 強誘電体HZO膜の低温形成技術確立へ向けた原子層堆積(ALD)法における酸化剤ガスの検討に取り組んだ。(a) 先行研究で培った知識を生かして高耐圧且つ良好な強誘電性を維持したHZO/ZrO2積層膜を作製して、実デバイス応用へ向けたこれらHZO/ZrO2積層膜の有用性を実証した。また、実用上有益な長期信頼性に関しても評価を加え、新たな強誘電体不揮発性メモリの実現に資する有益な成果が得られたことは大きな発展である。(b) 酸化剤ガスとして各々H2O及びO2プラズマを用いた熱及びプラズマALD法、及び300~400°Cの低温熱処理によりHZO膜を形成して、放射光X線源を用いた詳細な結晶構造解析に取り組んだ。ALD法による成膜時の酸化剤ガス及び熱処理温度が強誘電相である直方晶相の形成に及ぼす効果を詳細に評価したことで、実験室系X線回折による結晶構造評価では困難であったHZO膜の結晶構造と強誘電性の重要な関係を解明した。また、低温形成技術確立へ向けたHZO膜の成膜手法としてプラズマALD法が有効であると結論付けた。以上の成果は、学術論文だけでなく、国際・国内会議で積極的に報告した。また、MANA International Symposium 2021では、Excellent Poster Presentation Awardを受賞したことから、これらHZO膜の新たな作製技術が世界的に関心を集めている結果であると考えている。なお、これらの研究は、テキサス大学ダラス校、ブルックヘブン国立研究所及び国立研究開発法人 物質・材料研究機構との共同研究によって実施された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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