研究課題
特別研究員奨励費
①線維芽細胞特異的FGF21欠損マウス[FB-FGF21KOマウス]:前年度よりサンプル数を重ねて、コンダクタンスカテーテルで詳細に心機能検討したところ、コントロール圧負荷群と比較し収縮期末圧容積関係や弛緩能[Tau]がFB-FGF21KOマウス群では更に増悪していた。心臓エネルギー代謝の定量の検討では、糖取り込みはコントロールの圧負荷群で有意に増加していたが、FB-FGF21KOマウスの圧負荷群と比較し更に増加傾向であることが分かった。脂肪酸取り込みはコントロール群との差は見られなかった。その他、マッソン染色による線維化定量の検討ではコントロールの圧負荷群と比較しFB-FGF21KOマウスの圧負荷群で更に増悪していることが分かった。これまでの研究成果はアメリカ心臓学会基礎研究会(BCVS)2020に採択された。②心筋細胞特異的FGF21欠損マウス[MCM-FGF21KOマウス]:前年度ではFGF21floxマウスとMCM-FGF21の圧負荷無処置・処置群の4群で比較検討したが、FGF21mflox群も加え全6群のマウスの心臓におけるRNAサンプルにて検討を行った。その結果、心ストレスや線維化マーカーのmRNA発現がMCM-FGF21KOマウス群では増悪することが分かった。③全身FGF21欠損マウス[FGF21KOマウス]:これまでのKOマウスと同様、圧負荷後に著明な収縮能の低下、拡張末期径の増悪がみられた。圧負荷1週及び3-4週後でタイムコース実験を行い急性期/慢性期のFGF21の応答を検討したところ、特に圧負荷1週で心機能が著明に低下することが明らかとなった。以上より、FGF21は病的心ストレスに対して多臓器だけでなく心臓自体からも産生され、線維芽細胞によるパラクライン作用、心筋細胞自体からのオートクライン作用によっても心臓エネルギー代謝を調節する可能性が示唆された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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