研究課題
特別研究員奨励費
鯨類は海洋生態系における最高次捕食者であり,その食性を知ることは海洋生態系保全のために必要不可欠である。常に変動する餌資源動態に,鯨類がどのような応答を示すかを明らかにするためには,各鯨類がどのような餌選択性を持つかを明らかにする必要がある。本研究では,北海道周辺に漂着した鯨類を中心に,胃内容物分析及び窒素炭素安定同位体比分析によって,各鯨種の食性を詳細に明らかにした。北海道周辺海域における鯨類について食性解析を行った。ネズミイルカ,イシイルカ,カマイルカ,スジイルカ,コビレゴンドウ,ハナゴンドウ,シャチ,オウギハクジラ,ハッブスオウギハクジラ,ツチクジラ,クロツチクジラ,コマッコウ,マッコウクジラについて胃内容物解析を行った。その結果,それぞれの鯨種ごとの食性の特徴を明らかにすることができた。オウギハクジラとハッブスオウギハクジラといった近縁種について,それぞれ中深層性の頭足類を利用するが,ハッブスオウギハクジラの方がより深い場所に生息する餌生物を利用していたことが分かった。カマイルカとスジイルカは漂着する時期や場所が重複していたが,それぞれ利用している餌生物は異なっており,カマイルカはイワシ類やスルメイカといった表層で群れている餌生物を,スジイルカはハダカイワシ科や中深層性の頭足類を主に利用していたことが分かった。また,胃内容物から海洋ゴミが出現することも稀にあり,これまでにカマイルカ,コビレゴンドウ,シャチ,オウギハクジラ,ツチクジラの胃内容物から,ビニール片や釣り具,漁具といった異物が発見された。餌生物利用と海洋ゴミの関係については未解明であるが,今後なぜ海洋ゴミを食べてしまう個体がいるのか,より考察を進めたい。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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