研究課題/領域番号 |
18K00136
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 京都市立芸術大学 (2022) 宮城学院女子大学 (2018-2021) |
研究代表者 |
太田 峰夫 京都市立芸術大学, 音楽学部, 教授 (00533952)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ハンガリー / ナショナリズム / ツィンバロム / フランツ・リスト / オリエンタリズム / 西洋音楽史 / オーストリア=ハンガリー二重君主国 / 市民社会 / ロマ / サロン文化 / 二重君主国 / 市民階級 / 「伝統」の創造 / 楽師 / 中東欧 / 民衆劇 / ブダペスト / ブダペシュト / 音楽史 / 文化ナショナリズム / サロン / 音楽社会学 |
研究実績の概要 |
本年度は学会で発表する機会はなかったものの、研究に集中する時間に恵まれた。海外渡航が可能になったおかげで、ヨーロッパ、とくにハンガリーで資料を収集できたことは、研究にとって大いに有意義だった。とくに今回は19世紀中葉のハンガリー社会の歴史と文学について、数多くの資料を閲覧することができた。出張ではブリュッセルで楽器学的な知見を深める機会もあり、いろいろな示唆が得られた。そこで得られたものをぜひ本年度のアウトプットにも反映させていければと考えている。 また、本年度、関連するテーマとして、ハンガリー人作家ヨーカイの長編小説『年老いる頃に』におけるツィンバロムの表象について考察できたことも有意義だった。小説が書かれた1860年代という、ツィンバロムが中間層に広がっていく前夜の時期のハンガリーの文化状況について多くのことを明らかにできたからである。文芸批評という補助線をひくことで、ぺテーフィやレーナウなど、19世紀前半に活躍した詩人たちのロマに関する描写や、オリエンタリズムやナショナリズムの表象がツィンバロムという楽器にどうかかわっているのか、明確になったことも大きい。そしてこのテーマについての考察を論文のかたちで年度内にまとめられたことも、大きな意味があったのではないかと考えている。 本年度はささやかながら、音楽学をほかの人文科学の領域と関連づけることを試み、ひとつの成果を得ることができた。とはいえ、社会史研究との関連づけという大きな宿題は残されたままなので、本年度は学会に積極的に足を運ぶなどして、なんとかこの部分の遅れを挽回していきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍対応が一段落し、2022度に入ってようやく研究に進展が見られたものの、本研究で課題の一つにあげていた社会史と音楽学との架橋については、十分な進展はみられなかった。また、論文もようやく一本仕上げたにすぎず、けっして満足してはいられない状況であることにかわりはないからである。
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今後の研究の推進方策 |
ここまでに集めた資料を整理し、19世紀ハンガリーの状況に関連して、あと2本の論文を書く。一つはツィンバロム製造会社について、もう一つは演奏者達について。関連して、歴史系の学会に参加し、口頭発表を行う。 それも単純にアウトプットの数を増やすだけでなく、質も高めたい。具体的には、19世紀のハンガリー社会について、もっと数多くの文献に目を通し、知識を深める。また、内外の学会で多くの研究者とディスカッションを重ね、多くの人が納得できるような、しっかりとした成果を提示できるようにしたい。
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