研究課題/領域番号 |
18K00171
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
鶴岡 明美 昭和女子大学, 生活機構研究科, 准教授 (90422568)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 谷文晁 / 写山楼 / 都市江戸の文人文化 / 大野文泉 / 喜多武清 / 谷文一 / 谷文ニ / 二世谷文一 / 高川文筌 / 鷹見泉石 / 円山応挙 / 野村文紹 / 谷文二 |
研究実績の概要 |
1.文晁およびその係累と門人に関する記録の抽出については、これまでに調査を行ってきた「御側御納戸日記」(国文学研究資料館)②『テキ巣漫筆』(30册、国立国会図書館蔵)および『睡余操觚』に加え、田安藩の記録を収めた「田藩事実」(国文学研究資料館)の調査を開始し、田安藩における文晁と父麓谷の動向を明らかにする端緒を見出すことができた。 2.文晁およびその係累と門人に関する作品の調査と分析については、下記の成果を得た。 ①未実施の作品調査のうち、秋田市立千秋美術館(秋田県秋田市)の許可を得て調査を実施した。今回は所蔵する谷文晁一門のコレクションの一部を占める、文晁の初期から中期にかけての作品を中心に約15点の作例調査を行い、各年代の作風および署名、印章、着賛者等についての貴重なデータを得ることができた。 ②門人による作品研究の成果の一つとして、喜多武清が挿絵を担当した『優曇華物語』の研究を継続して行っている。すでに明らかにしている,円山応挙「七難七福図巻」からの図柄の借用が、挿絵側の問題にとどまらず、物語の主題にも深く関わることを踏まえ、江戸読本初期という作風模索期において武清の挿絵が果たした役割を、上方の版本挿絵との比較検討も交えて明らかにすることが見込まれる。 ③門人による作品研究のいま一つの成果として、過去に調査を実施した大野文泉の二つの作例「南部下北半島真景図・津軽外ヶ浜真景図」(青森県立郷土館蔵)と「奥州白川甲子山真景図巻」(真田宝物館蔵)の比較作業に着手した。現在の成果として、同じ印を使用していることが判明し、かつ、「奥州白川甲子山真景図巻」の印に欠けが見られることから、前者を文化3年、後者を文化5年の作とする先行研究を裏付ける結果を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年度は諸事情により学内の業務負担が増加した。学期内の授業および学内委員等の諸業務に加え、夏季休暇中は大学博物館の展示業務に多くの時間を割かざるを得なかったため、研究に充分な時間を充てることができなかった。 また、今年度実施を予定していた首都圏外の大学附属図書館での調査については、いまだ閲覧に一定の制限がかかっていたため実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
1.文晁およびその係累と門人に関する記録の抽出については、これまでに収集した記録の整理を次のとおり進める。①「御側御納戸日記」(国文学研究資料館)における谷文晁、文二、高川文筌の記録の抽出、整理。②斎藤月岑による諸記録『テキ巣漫筆』(30册、国立国会図書館)および『睡余操觚』(23冊、同)における写山楼関連情報抽出、整理。③「田藩事実」(国文学研究資料館)における谷麓谷、谷文晁の記録の抽出、整理。 2.①文晁およびその係累と門人に関する作品の調査と分析については、これまでの調査結果の整理を、特に大野文泉の真景図の比較検討に重点を置いて実施する。また、文晁の嫡男文二について、現存作例の発見に努め、調査を行い、有年紀作例を明らかにする。 秋田市立千秋美術館(秋田県秋田市)における作品調査を継続して実施する。このほか本間美術館(山形県酒田市)田原市博物館(愛知県田原市)など、未実施の作品調査を可能な限り実施する。 ②また、上記の画家たちが残した縮図帖の整理・および分析を行う。対象作例は次のとおり。谷文晁「畫學齋過眼圖藁」(2冊、大東急記念文庫)「文晁先生自画縮図」(2冊、都立中央図書館)二世谷文一「雲烟過眼録」(5冊、都立中央図書館/1冊、個人蔵)喜多武清「武清写生帖」(10冊、都立中央図書館)「武清粉本」(25冊、国立国会図書館)などとする。 3.文晁関連文献について、引き続き整理及び分析を進める。美術史家相見香雨の文晁研究については、残された調査記録(九州大学附属図書館蔵)の閲覧が可能になり次第調査を開始し、そこに示された文晁および一門の作品についての記載を手掛かりとして、彼の文晁研究について検証する。
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