研究課題/領域番号 |
18K00178
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館 |
研究代表者 |
瀬谷 愛 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 室長 (50555133)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 中世律宗 / 聖徳太子絵伝 / 聖徳太子二歳像 / 南無仏太子像 / 叡尊 / 浦添ようどれ / 琉球極楽寺 / 禅鑑 / 忍性 / 一遍 / 聖戒 / 東征伝絵巻 / 一遍聖絵 / 行基 / 粉河寺 / 法隆寺東院舎利殿 / 文王呂尚図・商山四晧図屏風 / 尾道浄土寺 / 持光寺 / 釈迦八相図 / 天橋立 / 聖徳太子 / 舎利信仰 / 法華経 / 絵巻 |
研究実績の概要 |
研究期間を延長して5年目となる令和4年度は、新型コロナウイルスの感染対策が徐々に緩和されたため、移動を伴う調査を再開しつつ、研究課題で取り組んできた研究成果の一部を論文にまとめ、アメリカ、ハーバード美術館、名古屋大学など国内外の大学、博物館と共同して書籍を刊行した。 論文では、日本中世に多数絵画化された聖徳太子の伝記である「聖徳太子絵伝」を取り上げ、とくに中世前期における聖徳太子の二歳像(南無仏太子像)の表現を比較し、その成立背景に西大寺流律宗が関与した可能性を論じた。とくに、本論はハーバード美術館が所蔵する彫刻の南無仏太子像を文学、仏教学、美術史学から考察する共同研究を契機としたことから、その像内納入品や彫像の成立と聖徳太子絵伝との関係に着目した。その像内からは叡尊ら中世律宗との深い関係を示す資料がみつかっており、四天王寺を中心とした中世律宗の活動の興隆、数多く伝来する彫像と絵伝の南無仏太子像の作例から、ハーバード美術館の彫像が成立した正応5年(1292)にほど近い13世紀後期からこれらの制作が展開された蓋然性が高いと考えられる。 国内で行った調査では、全国に活動を展開した中世律宗の足跡やこれらと軌を一にした可能性のある一遍の活動を追うため、河野通信墓(聖塚、北上市)、浦添ようどれ・琉球極楽寺跡(浦添市)を踏査し、関連資料の収集を行った。とくに13世紀後半に琉球で最初に建立されたとみられる極楽寺と禅鑑について有益な資料が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの感染防止策の緩和により、移動を伴う調査を一部再開することができ、新しい研究課題を得ることができた。また研究成果の一部を論文として刊行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度への研究期間延長を予定しており、移動を伴う作品調査が可能になる見込みである。これまで控えていた対面での作品調査や蓄積した成果発表を積極的に行なう。 新しい研究課題では、とくに中世琉球への仏教の展開に着目したい。本課題は関連資料が少なく、琉球極楽寺の建立に関与した禅鑑は従来禅僧とみる説が有力であった。一方で叡尊らと同時代に活躍した律宗と関連が深い東大寺僧禅観とみなす説は示唆に富むもので、これを再評価し美術史学的見地から考察することにより、中世律宗の海を越えた伝播と交流に新しい知見がもたらされるかと期待している。
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