研究課題/領域番号 |
18K00199
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所 |
研究代表者 |
安永 拓世 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化財情報資料部, 主任研究員 (10753642)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 呉春 / 白梅図屏風 / 与謝蕪村 / 芭蕉布 / 葛布 / 基底材 / 表具 / マチエール / 絖 / 靭皮繊維 |
研究成果の概要 |
呉春筆「白梅図屏風」の基底材は、国の重要文化財指定では「絹本墨画淡彩」として絹とみなされているが、研究代表者が所属する研究所の保存科学研究センターの協力を得て、FT-IR(赤外分光分析)による分析をおこなったところ、絹ではない植物繊維が使用されていると判明した。同基底材の候補としては、葛布と芭蕉布が想定されるが、両者は染織分野でも混同され、同定が難しい。そこで「白梅図屏風」に類似する基底材について、光学的調査に基づく比較分析をおこなった結果、「白梅図屏風」に使用される基底材は芭蕉布の可能性が高いことを解明した。さらに、芭蕉布などの特殊な基底材と呉春の絵画表現との関わりについても見通しを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
呉春筆「白梅図屏風」に使用されている基底材が、芭蕉布である可能性が高いと解明できたことは、同種の特殊な基底材が使用された絵画の時代性や地域性を検討する点でも学術的に意義深い。とりわけ、沖縄で製作されていた芭蕉布が18世紀から19世紀の絵画の基底材として使用されていた事例は、芭蕉布の流通史を考えるうえでも重要である。また、葛布や芭蕉布の基底材の使用が、中国絵画における絖と同じ効果を狙ったとの考察は、江戸時代中期以降に流行するマチエール表現との関わりを解明するうえでも示唆に富む。さらに、本研究で蓄積された事例は、染織分野における繊維の比較同定に活用することが可能で、学際的な研究として貢献度が高い。
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