研究課題/領域番号 |
18K00276
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
和泉 司 豊橋技術科学大学, 総合教育院, 准教授 (50611943)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 「サンデー毎日」 / 大衆文学 / 文学賞 / 長崎謙二郎 / 田村さえ / 千葉亀雄賞 / サンデー毎日 / 大衆文芸 / 文学懸賞 / 直木賞 / 邱永漢 / 『サンデー毎日』 / 笠置勝一 / 新人賞 / 笠置山勝一 / 石川達三 / 同人誌 / 週刊誌 / 文芸誌 |
研究実績の概要 |
〈大衆文学〉の新人文学賞に関する総合研究として、「サンデー毎日」大衆文芸という公募文学賞の検討を中心に、調査・研究を実施した。「サンデー毎日」大衆文芸募集は戦前から戦後にかけて、30年以上にわたって実施され、そこからは大衆文学作家だけでなく、純文学作家も多数輩出されている。その理由は、昭和初期において、純文学分野においては文学賞への投稿は金銭目当てと見なされ、軽視されたために、十分な発達を見ていなかったためである。その結果、小説家を目指す人々の多くは、大衆文学関連の賞に応募するしかないという状況が生まれていた。一方で、「サンデー毎日」大衆文芸のような文学賞は、それ自体は新人小説家を排出するプラットホームとしてのポジションにはついていなかった。投稿されるのは原稿用紙50枚前後の短い物で、また一度当選した者が繰り返し投稿・当選を行うことが可能だった。つまりそれは、この文学賞に当選しても、アマチュアの域から出ることはできなかったということである。 そのような「サンデー毎日」大衆文芸は、おそらくは直木三十五賞の創設の影響によって、類似の千葉亀雄賞を1936年より開催したが、長く続くことはなく挫折した。本格的な文学賞の維持・運営には莫大なコストがかかり、週刊誌運営と同時進行に行うことは、当時の「サンデー毎日」には厳しかったことが想像できる。 このような「サンデー毎日」の文学賞としての機能に関する検討と同時並行して、そこから登場した個別の作家の調査・検討も続けている。その代表が1940年に当選した長崎謙二郎とその妻の田村さえの活動である。この二名は日本文学史上ではほとんど知られていないが、その活動は非常に長期にわたって行われ、その残したテクストからは、戦前戦後の文学賞にまつわる作家活動の様々な問題点が読み取ることができる。このようなテクストの検討も進めることができている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の影響で、数年間研究の停滞があり、また新規の科研費研究計画もスタートしたため、その同時並行によって当初の計画から研究計画期間の延長を余儀なくされたが、2023年度については順調に調査・研究を進めることができた。2024年度を最終年度として、研究のそうまとめと行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、これまでの研究のそうまとめとして、「サンデー毎日」大衆文芸の受賞者の動向を図式化し、資料として今後に役立てられる形にする。同時に、「サンデー毎日」やその周辺の大衆文学作家や文学賞に関連する作家達の個別の研究を通じて、1920年代から戦後社会における文学賞の変容・大衆文学の変容と、それに沿った作家達の活動を詳細に追って、文学活動や文学賞と社会の結びつきについて明示化した論文を発表していく。
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