研究課題/領域番号 |
18K00313
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
磯部 祐子 富山大学, 大学本部, 理事・副学長 (00161696)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 漢文笑話 / 江戸時代 / 訳読 / 落語の興行 / 漢籍受容 / 笑門 / 笑堂福聚 / 諧謔精神 / 批判精神 / 小咄 / 影響関係 / 奇談一笑 / 奇談新編 / 明治時代 / 中国文学 |
研究実績の概要 |
本年は、これまで読み解いてきた江戸の漢文笑話『前戯録』『善謔随譯』『善謔随譯續編』『笑堂福聚』『笑門』『へん譚』『譯準笑話』の文化的背景を考察することに主眼を置いた。また、漢文笑話における「笑い」の特徴を見るため、文化事象との関わりについて分析を加えた。 ところで、江戸の漢文笑話隆盛の背景には、藩校や私塾の増加による「教育爆発」の時代とも言われるように、漢文学習者そのものの裾野の広がりがあったこと、また、寛政期ごろ、江戸においては落語が流行するなど「笑い」受容の環境が醸成されていったことがあげられる。いわば、江戸期漢文笑話は学びの層の変化拡大および笑いを享受する時代がもたらした文化事象の一つともいえる。 それゆえ、中央の儒者山本北山(『笑堂福聚』)や、地方の儒者津坂東陽(『譯準笑話』)、文人寺崎れい洲(『へん譚』)などは、明らかに漢文教育と笑いの享受という両面から、漢文笑話の創作と出版に着手した。また、それらの書は、作者の周辺のみならず、遠地の知人にも贈呈するなど、全国的な広まりも見出すことができた。例えば、『へん譚』は、江戸の大槻玄沢に送ったことが知られる一方で、加賀藩・佐渡養順などの医師など(金沢市立玉川図書館蒼龍館蔵書)も読んでいたことが知られている。 しかし、実際に、藩校の祭酒等は、漢文笑話に関心をもったのかといえば、富山藩の祭酒・市河寛斎は山本北山とともに清新性霊派の流れにあり、寺崎れい洲等と同時期に越中にいたが、市河寛斎の作品において笑いの要素を探し出すことは極めて難しい。漢文笑話への関わりは、それぞれの個性の差が大きく反映するものであった。 本年は、漢文笑話の文化的背景を探るために、富山藩校教授として二〇年在職した寛斎の遺稿を紐解きながら、交友関係や日々の生活を読み解き、漢文笑話の周辺について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
漢文笑話集の訳読に基づく作品研究は順調に進んでおり、当該年度も2本の論文を発表した。ただ、コロナウイルスの感染拡大により、予定していた国内外の図書館等における版本調査については、今後コロナ禍の状況を見ながら実施することにした。
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今後の研究の推進方策 |
既に訳読及び小咄との比較考察を終えた漢文笑話テキストについて、今後も公表していく。同時に、未考察の漢文テキストの訳読を継続して行う。
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