研究課題/領域番号 |
18K00426
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 東京大学 (2020-2022) 青山学院大学 (2018-2019) |
研究代表者 |
秦 邦生 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (00459306)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | モダニズム / ノスタルジア / ユートピア / ディストピア / ポストコロニアリズム / アダプテーション / エコロジー / イギリス帝国主義 / 自然 / イギリス文芸批評 / ポストモダニズム / 第一次世界大戦 / 第二次世界大戦 / 戦争表象 / 人間性 / 動物性 / イギリス文学 / 情動 |
研究成果の概要 |
本研究課題は、モダニズム期以降のイギリス文学・文化におけるさまざまなノスタルジア的表象とその変容を、情動理論ならびに空間的移動という側面から再考した。しばしば退行的と考えられる「ノスタルジア」という情動には空間的越境の経験が刻印されており、解放的可能性もあることを、ジョージ・オーウェル、H・G・ウェルズ、サルマン・ルシュディなどの文学作品を題材にして論証した。主な研究成果は2021年刊行の編著『ジョージ・オーウェル『一九八四年』を読む』(水声社)ならびに2022年刊行の訳書レイモンド・ウィリアムズ『オーウェル』(月曜社)にまとめ、それ以外に英語の口頭発表や学術誌掲載論文などで公表した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果の学術的意義は、退行的と見なされてきた「ノスタルジア」の情動に含まれる肯定的可能性を見出したことにある。その社会的意義は、近年は公的な言説においても注目の集まるジョージ・オーウェルの『一九八四年』をはじめとするユートピア/ディストピア文学の批評的可能性について、ノスタルジアの観点から理解する観点を提供したことである。ディストピア文学はさまざまな政治情勢やメディア環境の変化と関連づけて絶望的な社会状況を描いた物語ジャンルという一面的な理解がまだ支配的である。だがノスタルジアの解放的可能性という論点を踏まえれば、ディストピア文学には希望の萌芽も含まれていることを理解することができる。
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