研究課題/領域番号 |
18K00449
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 京都大学 (2021-2022) 三重大学 (2018-2020) |
研究代表者 |
菅 利恵 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (50534492)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | コスモポリタニズム / ヴィーラント / カント / ドイツ啓蒙主義 / 公共圏 / 啓蒙思想 / ユストゥス・メーザー / マルチカルチュラリズム / 啓蒙主義 / ナショナリズム / 愛国主義 / ドイツ思想史 |
研究成果の概要 |
本研究では、18世紀コスモポリタニズムを牽引したヴィーラントの言説を精査し、その同時代的意義を明らかにした。まず、初期から晩年までのコスモポリタニズムに一貫した特徴として、社会や慣習から意図的に距離をとる「よそもの」の姿勢を抽出した。そしてこれが、彼のいまひとつの基本姿勢であった「言論の自由」の主張と密接に結びついていることを示した。さらに当時の代表的コスモポリタンとしてカントにも注目し、ヴィーラントとの比較を行った。その上で、しばしば理想主義的で観念的である点が批判されてきたコスモポリタニズムが、啓蒙の公共性の理念を意味のあるかたちで展開させるために、なくてはならないものだったことを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、ヴィーラントやカントの言説分析から、啓蒙時代にコスモポリタニズムが批判的知識人の拠点としていかに機能したのかを明らかにし、従来の「現実離れ」したコスモポリタン像を刷新することに成功した。また「よそもの」という観点からコスモポリタニズムをとらえ直したことによって、18世紀のコスモポリタニズムが「特定の社会や文化に包摂されない生のための思考」の端緒となったことを示すことができた。国際社会の欠陥があらためて露呈した現代にあって、共生への回路を手放さないための思考を鍛え直すことは急務の課題となっている。啓蒙時代のコスモポリタニズムは、この思考の基盤として今なお注目に値するのである。
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