研究課題
基盤研究(C)
サルトルと第三世界との関係を明らかにするという目的に沿って、主として以下の研究を行った。(1)キューバ革命およびアルジェリア戦争に対するサルトルの具体的な介入を詳細に跡づけるとともに、これらの歴史的出来事との接触がサルトル思想に与えた影響を示した。(2)サルトルの主宰する雑誌『レ・タン・モデルヌ』が、フランスのみならず世界へと向けて情報を発信し、フランス国内外の世論形成に寄与したことを明らかにした。また、そのなかには、日本への知識人たちへの影響も含まれていることを、具体的な例をもって示した。
①サルトルの実存主義が、単なる思想のレベルに留まらず、彼が主宰した雑誌『レ・タン・モデルヌ』の活動を通して、アルジェリア独立戦争や革命後のキューバの状況を世界に発信し、世界の世論の形成に寄与したこと、そのなかには日本も含まれていたことを明らかにしたこと。②第三世界の国々への訪問や、そこでの知識人たちとの交流が、実存主義思想が思弁的なものからより広く社会的なものへと展開していく過程で、大きな影響を与えたことを論証したこと。以上2点が本研究の有する学術的意義である。以上の成果は、文学・思想と社会の関係を明らかにする側面をもち、その意味で学術的意義をもつ。
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